スティーブンについて語ってみる。2015/05/17

 こないだK・Kとセットで語ったところじゃないかと思うけど、セットじゃないところでもひとつ語っておきたいスティーブン。

 というかね。
 腹黒だ陰険だ真っ黒黒だと言われがちな主原因は3巻「Day In Day Out」だと思うんですけど。
 うん、まあ確かにな。怖いし黒い、てとこは確かにあるんだけどさ。
 あ、これホームパーティじゃなくてカチコミだった、て気がついた後のスティーブンの対応って、淡々と手を打ちながらもまずハウスキーパーのヴェデットさんを帰して安全を確保、その後はできれば無かったことにしてそのまま引き返してくんないかなあと思いつつ延々と様子見ですよ。
 あのな、そんな細かい配慮に気づく人はカチコミなんかかけてこない。
 しかも元からのつきあいがあるとは言え、自分でとどめを刺せてない。見たくないから人に任せて席外す訳で。
 んで外に出てぼーっと一人で落ち込んでるとこ見ると、この人そんなに黒いか……?て気がします。
 例えば買い物に行った先で店ぐるみの襲撃に遭ったK・Kは即掃討戦に入ってますし(4巻「Cherchez l'idole」)、クラウスに至っては逆鱗思いっきり逆撫でされた勢いでヤクザの事務所を丸ごと拳ひとつで(破れたシャツから見える腕にいつものナックルとグローブが見えないので、ブレングリード流血闘術は使ってない可能性が大です。)皆殺しにしてる訳ですから(6巻「The Outlaw of Green」)、ついさっきまで友達だと思ってた知り合い相手という状況の特殊性は考えるものの、そこら辺の事例と比べたらむしろこれ穏健派な方だろう。

 あのひたすら待ちの様子を見ると、あんまり思い切りのいいタイプではないんじゃないかな。
 原作中にスティーブンの過去の描写がないので何ともいえませんが傷とか刺青とか、まあ盛大に黒歴史がありそうな節はあります。
 ならあの妙に忠誠心の高そうな「私設部隊」、その頃つき合ってた(というかついてきてた)連中と縁切り出来てないだけと考えることも十分ありではないでしょうか。
 面倒がりとも言う。
 ホームパーティの後始末はともかく、誰もやりたくない仕事とか誉められた話じゃない仕事なんか、その辺人に因果を含めてやらすより自分がやっちゃった方が早くて確実だし、説得の面倒がいらないから自分でする方が楽、という考え方がありますよね。
 これ、裏返すと厄介な仕事程嫌がらずに引き受けてくれる人な訳で、ことに下につく人には人気出るタイプじゃないか。
 まあその結果やってることが「じゃあちょっとお姉ちゃん誑かして警察の内部資料もらってきます」だと人望的にどうだかわからんけど。でも他の人にそういう手を使ってでも手に入れてこい、なんて命令するよりはなんぼかマシでは。ひいき目かなやっぱ。

 それと、8巻「幻界病棟ライゼス」で大崩落中の回想。ちょっと苛ついてるとこなんか、あーこれ今すっげー心細いんだなーて感じが満ち満ちていて私は好きですね。
 クラウスいないと結構豆腐メンタルなんじゃなかろうか。
 で、たどり着いた病院で人が元気に働いてるの見て、大分落ち着きを取り戻している感があるので基本人なつこく寂しがりとみる。
 あの状況下での病院ロストは効いたろうなあ。

 善人だとは言わん。優しいとも言わん。
 ただ何でも切り捨てられる程冷血に強い男でも卑怯な男でもないと思う。
 まあそもそもが、あのクラウスが相棒にしてる男ですしね。
 クラウス、本人にずるさが無い分人を色眼鏡で見るところもないから人間性まで騙しきるのは難しいと思うし、そもそもクラウス人の選り好みは割とする方じゃなかろうか。

 人なつこく寂しがりで一度懐に入れたものを捨てられない、割と面倒がりでぼんやりした……。とまとめてみれば出てくる印象は割と普通。
 能力値で言っても何かが突出したりもしない安定した平均値。
 ただしその平均している基準部分が高いだけ。
 うん……普通なとこ、あるんだよなあ……。
 クラウスがすんごい考え込んでたりびっくりしたりした時に出る気迫っていうか気功っていうか。
 それに一々引いたり吹っ飛ばされたり涙目になったりしてんもんなあ。その辺の反応、レオと大差ないからな。
「こわい」じゃないだろあんた何年相棒やってんですか。慣れろよ!

 あ、もう少しスティーブンの特色として挙げられそうな話がひとつあった。
 飯の話。
 そう、再びの3巻「Day In Day Out」。料理上手のヴェデットさんを雇ってる上に自分でも作っている。
 この時点で食う話は相当好きだなと。
 そんで7巻「エスケープ フロム ペイン チェインリアクション」。あっ、そのついで仕事な感じで頼まれた「サンドイッチ買ってこい」結構大事なとこだったんすか……というあの恨めしそうな顔。
 で、あれな。8巻「王様のレストランの王様」。そんな超のつく高級店いつ行ったお前。
 あと、確証がある訳じゃないけど6巻「ラン!ランチ!!ラン!!!」においてザップとレオのお昼のお店リストの中に、やけに小洒落たイタリアンであるアーティさんの店とか入ってる原因もスティーブンなんじゃないのかと疑っている。
 こんだけ揃えば「何事もまずは飯」「多分食わないと動かない」「飯の恨みが何より怖い」「こいつが飯を忘れるようなら異常事態なので至急要対応」だったりしないかと思ってる。

 うん、わかってる。
 色男成分何処行った、っていうことはわかってる。
 多分!外見的な部分以外に色気は無い!というのが現時点での私の見解です。

血界アニメ7話「拳客のエデン」感想2015/05/18

 今回もアニメオリジナルパートは素敵でした。
 という感想はちょっと後に回させていただいて、まずは本筋の闘技場部分から。

 うん、レオとクラウスのカブ2ケツは大分省略されるだろうと思ってたので「やっぱりな」という感じ。
 闘技場の作りと演出は、さすがだこうじゃなきゃいかんよねえ、て感じ。
 ただなあ。
 アニメクラウスは、細いんだよなあ。
 いや、1巻位の頃なら違いはないんだけど、原作クラウスは巻を増すごとにごつくなるもんで、4巻の「拳客のエデン」の頃になると既にして一回りサイズが違うのね。主に厚み的に。
 重装歩兵というには若干ボリュームとして物足りない。
 また、重さを物足りなく感じさせるような動きでしかない。拳が軽い、腰が入ってない。
 わがまま言ってるのは承知、元々の私の思い入れが強すぎるのも多分ある。けどさー。この話闘う旦那超強いマジかっこいいてとこが一番肝ですぜ。
 どうも圧倒的無敵という感じがしない。
 観客と一緒んなってクラウスコールする位でいたかった。原作そのままの絵がなくてもむしろよかった位で。
 クラウスの表情の出し方はシャツの脱ぎ捨ても含めてあらゆるシーンですごくツボなので、尚更惜しい気分が募ります。格闘のシーンだけなんかぎこちなさがあるんだよなあ。

 それと、罵倒文句各種は大幅にごっそり削られましたね……。
 罵倒文句の意味というよりあの独特のリズム感が作中からなくなっちゃうのはちょっと残念。
 まあ音声にして長すぎると間延びしますしね。
「最低だ!最低に糞尿ぶっかけてルーブルに飾って金取るくらい最低だ!!」
 とかレオが言ってる間中ザップが助走つけてるようじゃ、目標の旦那まで何百メートル離れてんだって感じですけれど、でも「ウスラ寒くなる程いい気味じゃない…」はあってもよかった気がする。
 クラウス、ザップの無事は喜んでくれるんだけど、それはそれこれはこれで、機嫌は悪いんだよね。
 多分ハメられたこと自体はそんなに怒ってないんだけど、でも自分で決めたルール破って左使っちゃった訳だし。
 そもそもあの血界の眷属の出方は完璧に不意打ちなんで、なす術なくぶん投げられちゃったのはクラウスにとって不覚以外の何ものでもないと思う。
 個人的には「Day In Day Out」「BRATATAT MOM」に並ぶ大人組「調子に乗ってました後で一人反省会」の話だろうと考えてます。
 そんなとこ突っ込んでったら八つ当たりが飛んできて当たり前だろザップ……。自業自得だけどさ。

 あと台詞の削られ方では「極上のダンスを踊るんだな」はクラウス絶好調に闘いだした後の「今夜はよく踊ったぜザップ・レンフロ!」と組だと思ってんで後半削られるのもちと哀しい。
 しかしオズマルドはそのメンナク臭ありありの台詞も、声がつくとこんなにかっこいい、て実例なので前回のネジに続いて音声偉い。
 けど削った台詞でも十分に長いので、リング以外の動きの無さって目立っちゃいますなぁ。
 つまりオズマルド戦と、最初のジャグラノーズにとどめを刺す動きにずいぶん色々使っちゃったあおりなんだろうけど、そういうとこで闘技場の熱気が削がれちゃったとこあんだよなあ。オズマルドも含めて観客が動いてないのでいまいちあの熱狂に、グレゴールさんの熱いステゴロ最強理論以上の説得力がない。
 全体に、惜しい。
 あ、でもグレゴールさんはかわいいよね。何を言ったら相手に通じるか、きちんとわかってる辺りにド素人の旦那向けチュートリアルとしてザップが送り込んだ理由を見る気がします。

 さてオリジナルパート。
 映画デート連れ出して病状に問題ないのか気にする辺り、レオナルド本当にお兄ちゃんだなあ。
 と言いつつ正直ダイナーの相客に9巻の親子を見つけて息止まる思いをしたので気分はそれどころじゃない。しかしここでこっそり入ってるということは多分「BRATATAT MOM」はやらないってことですね。まあそうだろな、あれレオナルドもザップも出ないしクラウスも台詞1行だし。
 そんでそこの動揺が収まる前に爆弾ですよ。
 ああ、10巻「妖眼幻視行」やらないでもオリジナルの話でこれ使う為の布石だったのかホワイトの「幽霊なの!」。
 そう、「トータスナイト」の話。
 憑依系だと思う絶望王戦を想定すると、確かにそうだなあの「亀の騎士」のお話の出番は作れるな。10巻はやらないみたいなのに何でモチーフがエンディングで出てるのか不思議だったんだ。
 これはレオナルド無双が来る!
 すっごい楽しみになってきた。

 とりあえず次回は雑巾師匠とザップ、K・Kとブンのやりとりを楽しみにしようと思います。
 よかった、1話みたいな無茶な話の詰め方されるんじゃないかとちょっとだけ心配してたんだ。

血界アニメ8話「Zの一番長い日(前編)」感想2015/05/25

 何でそこを無駄にイケメンなアップで描くよ。
 とのっけから後半パートの感想で始めないように、という感じですが、だって前半部分が本当にあっという間というか秒殺で過ぎてった。恐ろしい濃度だった……。
 ザップの大変クズな日々の描写からのアンジェリカたん、そして腹のぽよんぽよんに至るまでの過程が大変スムーズで、ああザップかわいいのに悪い奴じゃないのにクズだよね……ほんとにね……と思わずにいられない、中々いい流れだったと思います。アニメの作り込みすげえ。
 途中絡んでくるカツアゲの相手がヌズルバなとこもちょいポイント加算。ソニック大活躍の「マクロの決死圏」はやらないだろうから、こういう使わない話のキャラをちょいちょい端っこで出してくれるのうれしいな。
 しかしアニメの腹ぽよは背中にもきっちり肉を付けてくる容赦のなさが原作以上で、何でコレが本気出せば数分以内で元に戻るんだ斗流血法コワイ。
 で、あれだ。
「ザップは確かに度し難い人間のクズですが、我々にとって欠くことの出来ない大事なメンバーです」
 原作ではデフォルメ顔でさらっと流すシーンなのに、謎のイケメンアップをかましてくるのは何事ですかとツッコみたい。
 あの状況を考えればあんまり冗談やらかしてる場合ではないはずなので、つまり本気で間に入って取りなしてやるつもりで、うっかりザップへの説教が混ざってこの台詞が口から出る(もしくはあれでフォローになると本気で思っている)、そんな詰めの甘い番頭が私は好きですよ……。度し難いのはむしろおめーさんだよ……。
 後でクラウスが頭下げてやっと取りなしが完成する辺り、ナイスフォロークラウス。そんなところもリーダーですよね。
 まああのくらいで引っかかるザップが繊細だとも言う。普段から言われてんじゃん、そういうことは。

 しかしそこでスティーブン先生をイケメンに描くくらいならね、あれをきちんと入れて欲しかったと思うのですよ。いいタイミングでフォロー入った後のK・Kとのやりとり。
「ドンピシャ過ぎるよ何かムカつく」の後。
「きっと陰でタイミング測ってたんだわそーなんだわ」
「あれ。おっかしいな褒められこそすれ罵倒される流れじゃないと思うんだけど」
 ここんとこすごく好きなとこなので、惜しい……音声で聞きたかったこれ……。K・K姉さんの罵倒文句が物足りない。
 あーでも戦闘のテンポで言えばあんまり悠長に時間使ってる場所じゃないからなここ……。得物入りトランク提げて歩くK・Kすごくかっこよかったしな。背景の街ん中キレイだし。しょうがないか。

 戦闘シーンについて言えば、師匠最高にかっこいい。
 KOFの草薙柴舟だって技のモーションは息子の京よりキレイなもんだった、つまり師匠の技が弟子よりかっこええのは正義。
 焔丸三口が見えにくいのはともかくザップをとっ捕まえながらの穿ツ牙七獄五劫は楽しみに待ってたところなので、ああやっぱり師匠かっこいいなあうれしいなーと。
 師匠の自分への罵倒文句を延々自分の口から言わされるザップがまた、音声つくといたたまれなさマキシマムでいいですね。
 弟子との会話はできるけど基本的にはシャーシャー言ってるだけの師匠、弟子との通じてるもん同士の会話はどうすんのかなと思ってたんですけど、そうか…原作通りそこ2人の会話は何事もなかったかのように少し不思議なコンニャク的な通常会話ですか。シャーシャー言わして字幕で台詞ってのもありかなと思ってたんですけど。
 とりあえずひと落ち着きすると師匠と弟子の会話がかわいくなるんで後編も楽しみ。
 師匠があれで案外お調子者なとこがあるの、すごくいい。びっと親指立てる様なんか好きですね。

 ところでサーモグラフによる表現となった例のアレ。
 DVD&Blu-rayではきっちり描き直す、と公式からお知らせが出ていますが なにもそこまでしなくても としか。
 みなさん好きですねザップの股間。光るわサーモだわ描き直すわ。でもしかしアレがアウトならシティハンター今は再放送もできないってことかぁ。あんなもん大したことじゃないじゃないかとしか思えないんだけどなー。思えば下ネタにおおらかな時代に育ったものよ……。
 描き直しついでにチェインの伏せ字だらけな煽り文句は削った部分を直したり、はしないんだろうか。ザップのフォローの為にあの煽り文句をクラウスはもとよりスティーブンの前で平然とやるチェインのプロ意識。おれは好きですね。

 さて、オリジナルパート。
 冒頭といい最後といい、原作8巻の「大崩落」シーンを思い出すなあ。ああ術師のおうちかー。しかも殉職っぽいなあ。そんで当時の黒白兄妹の絵を見ると、EDで私がもしかして幻界病棟!て思ってたノイズまみれのカットはこれ黒白兄妹ですね。がっくり。そっかールシアナ先生は無しかー。
 事情は不明だけど、何かウォッチ兄妹と同種の表現で何がしか選択を迫られているので、まあホワイトの病状と絶望王の憑依と何らかの接点か関係かあるんでしょうね。
 しかし3人分演じ分けかあ、ハードだなあ。

 来週はツェッド君ですね。あの闇雲にスマートで半透明でジャパニーズスイーツくずもちな質感どうなるんだろう。楽しみ!