「劇場版TIGER&BUNNY The Rising」感想文:その32014/02/28

 まさかの感想文3枚目。
 いい加減くどいような気もしますが、改めて注意喚起。
 ネタバレですよー。


 さて虎徹さん。NEXT能力なしでの動きを考えると十分超人じゃねーの、といういつものツッコミをまず入れる。
 でも例によってその超人的な素質のくせに、何故そんな些細なところへ引っかかる……。と言わずにいられないのも虎徹さん。視野が狭いという欠点はハンドレッドパワーの持つもうひとつの素質なんですか、と私は聞きたい。
「困った人を助けたい」という虎徹さんの正義の在り方が、二部リーグではでは本当に「見える範囲でしか助けられないけどよしとする」てとこまで縮小されてるような気がする。
 順応性が高いとも言えるんですが、そこは順応しちゃあかんとこやで、ていうところから全力で目を背けて強がっている辺りが辛い。ヒーローとしての在り方みたいな話になると、話をろくに聞かないで畳みますものね。
 例えばバニーの言う「金の問題」が単にギャラではなくプロジェクト予算の問題、ていうのは考えればわかりそうなことな訳で(裏を返せばギャラについて気にしてるのは虎徹さんだってことです……)。
 でも、虎徹さんがどーにかならんと、思わぬ所へ影響が出るんだな、て映画見てて思いました。
 牛の大迷走。
 ポイントランキングが最下位とか、引退してもおかしくない最ベテランになったとか、そういうこと以前にロペスちゃん現場での振る舞いは虎徹さんを基準点に置いてたんだな……としみじみ感じました。
 所属は違ってもある意味バディ。ついてく目印を見失ったとしか思えない。
 そもそも引退したヒーローが今どうしてるか、という話、今まで見てるの解説のステルスソルジャーさんだけだもんね。基本的には人知れず隠居……できたら幸せ、てことなんでしょうか。ヒーローアカデミーの教官もありなのかな?
 予備役的なシニアリーグなり、専門職の斡旋なり、今までなかったモデルを作っていく必要もありそう。
 そこら辺を虎徹さんが頑張らないと何だか迷い牛がこの先大変哀れなことになりそうな、気がする。
 いやむしろそこで頑張るべきはアニエスさんなのか。
 ……アニエスさん何気に重度のヒーローマニア疑惑が、映画見ているうちに生じましてね……。あとなんのかんの言ってタイガーと長い付き合いの信頼関係はやっぱりちょっとおいしいですね……。

 それから勿論バニー。
 バニーの不器用さと真面目さ、頑固さがひときわ目立つ感じでようございましたね、今回。
 終盤に入るまで、印象が妙に薄いんですよ。出てきても黙っているとか言葉が足りてないとか表情が上の空な感じ。後から思えばずっと考えていたんだろうなあ、って感じです。
 両親のことも、ヒーローに復帰したことも、多分自分の望んだはずの所と少しずつずれていて、でもそのずれをきちんと表現するどころか把握することもできてないから、その正体をずーっと探していたんじゃないかなと。
 マーベリックが死んでも両親は帰ってこない。ヒーローに復帰しても二部ヒーローでの活動は理念的に不満はないけど「コレジャナイ」的な気分があったんじゃないかと。勿論一部リーグに戻ってからも。
 自分なりのヒーローの存在意義と正義の意味を、自分で獲得する為に一生懸命考えていたバニーを思うと感慨深い。虎徹さんに聞くのでもなく、虎徹さんにただただついていくのでもなく、自分のヒーロー像を作る気になったんだなぁと。
 やっと、やっと自立したかバニー!
 思えば今回お姫様抱っこがない。後ろから追いつく形でないとできないんですよね。上から引っ張り上げるという形はバニーが対等な位置に立つということの暗示だと嬉しいな。
「あなたを救うためにあなたを止める」
 おれはそのかっこよさを……待っていた……!正直テレビシリーズ第2クール中ずっと待っていた……!
 また、虎徹さんがね。
 バニーの意見を受け入れて、1分間の使いどころと使い方を考えるようになりましたっていうのが……!
 この対等な立場があってこその「バディアクション」ですよ!
 そんな訳であのラスボス戦軽くテンションMAXで燃えさせていただきました。
 ちょっとだけ、シューティングゲームみたいなよくわかるCG画面だとも思いましたが満足です。全ヒーローの波状攻撃からグッドラックモードのカタルシス!

 ただ、壁と成長を描かれているヒーロー連とは別口に、もしかしてあなたも迷走中かと言いたい人が約1名。
 ルナ先生が安定のルナ先生のようでいて、どこかおかしいなと。
 ルナ先生がヒーローシステムの正義を否定するのは、ヒーローで居続けられなかったお父さんに対する恨みと、そんな父にヒーローを辞めさせてくれなかった、そして父殺しを罰してもくれなかったマーベリックに対する不信感から来てますから、マーベリックを殺した時点で復讐というのはおかしいけど便宜上復讐というか目的は完遂してるはずです。
 新たにヒーローシステムの主となったシュナイダーが恣意的なシステム運用をするのに改めて失望した、というのもあるんでしょう。でもどこか目的を見失って、今までの行動規範を通すのに精一杯になっているように見えるのです。
 マーベリックを殺したことについて、その後の社会だけでなく自分自身も何一つ変わらなくて、どうすればいいか迷っているんじゃないかと。そしてバニーちゃんはその迷いを自分で越えましたけど、ルナ先生は今回虎徹さんに丸投げしましたからね……。
 歪みが大きくなってきたというか、今ものすごく不安定なんじゃないのか。何しろルナ先生の正義は冤罪1回やった時点で正当性の崩れる脆いものです。証拠や証言を捏造できた能力者マーベリックの存在は、正直怖い。
 実を言うと私、ルナ先生の父殺しの現場にマーベリックがいるということ自体、今考えるとおかしいなーと思っておりましてですね。
 ──記憶操作能力って、「自分は加害者だ」と刷り込むこともできますよね?
 そもそものきっかけとなったトラウマが冤罪だったら、これ救いようがないことになるなと。
 今回の映画では何ともないけどすごく不安。

 そんな訳で、エンディングの後の話に思いを馳せることができる、楽しい映画でした。
 あー、ほんとこの続きでないかな……。気になる所が多過ぎて。

 というところで話が終わればええのですが。
 席を立った瞬間、一緒に行った黒さんに向かっての私の第一声が「……嫁?」だったことは申し上げておきます。
「今市民の皆様に祝福されて新たな門出を迎えたお二人に温かな拍手を的な?」
 という趣旨のことも言いました。
「おっとその続きは映画館を出てからだ」と止められる位にはアレでしたが、結局異論は出ませんでした。
 はいはい末爆末爆以外の感想が出ないコンビ再結成シーンもどうなんだ。
 以上を持ちまして感想文、終了でございます。ご清聴ありがとうございました。

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