龍如プレイ日記おまけ:(承前)錦と由美と男の夢と2013/12/07

 さて、由美と錦でしたね。
 そう、最終話ラスボス戦前。由美ちゃんはきっぱりはっきりお断りしている、その上結構キツいことも言われているのに錦が動じる様子がない。それどころか怒る様子もない。
 よく考えたら7話で桐生ちゃんと話をしたときに、「由美」を直接話題に出してきたのは「そんなお前だから惹かれたんだろう、由美も」の一回だけ。
 惚れてる割にはあっさりでーすよねー。

 大体1話の堂島殺しの前の夜の時点を思い出しても、本人同士の関係がどの辺りまで進んでいたかはともかく、周囲の認識上完全に「セレナのホステスは桐生の彼女」である。
 何しろ同じ東城会内と言えども違う組の真島の兄さんが「オフタイムの桐生ちゃんを捕まえるならここ」と決めて張り込んでいるんだから(セレナ自体に入らないのは多分縄張り荒らしになっちゃうからですね)、かなり有名な話であったと推定。
 とすると、堂島組長が由美ちゃんに目をつけたのは桐生ちゃんに対するイジメという線が濃厚になりますが、そこんとこへなだれ込むと今回の話から逸脱するので割愛。
 そもそもね、「こないだ指輪プレゼントしました」て時点でそりゃ「あーそういう仲なんですねー」と思うのが普通と思われるので、その時点で彼女だと確定してない方がおかしいんである。初めて贈ったプレゼントが指輪……桐生ちゃんは手が早いのか鈍いのかわかんねえ……。
 とにかく、桐生ちゃんと由美ちゃんの相思相愛な関係は10年前から確定しているとしよう。仮に錦山も脈は無いと知っていても実は由美の事を好きだったとする。親友と片思いしている女が目の前でいちゃつく3人飲みってあなた、うれしいか?
 なんぼ桐生ちゃんが鈍感だとしても、そこはせめて由美ちゃんが気がついとくべき場所だろうよ。
 これが平気だという時点で、少なくとも10年前に錦山から由美に対する恋心の存在に私はダウトを提示したい。

 ただ、錦山が由美の事を大事にしていないと言う訳ではないところがややこしい。
 言うまでもなく「堂島殺し」は錦山が由美を助けるつもりで親父相手にキレたのが原因です。
 そして大変痛いだろうことをズバッと言われても怒らない。
 それに彼女に執着してない訳でもないんですよね、「由美の行方を知っているかもしれない由美の妹と名乗る女を殺した」という理由でキレて舎弟を惨殺したこともある訳ですし。

 さて、ここから導き出せる推論としては。
 1:既にして脳内彼女。
  ほら、錦この10年苦しい闘いの果てに見事なヤンデレラになっちゃう位だからさ……。歴とした当事者なのに、苦しいときに傍にいてくれなかった娘さんが脳内彼女になっちゃう位、大目に見てやんなよ……。という論旨。

 しかしこれではあまりに錦が不憫では。いや不憫な子には違いは無いけどちょっとこう。他を当たろう。
 2:元々施設の「妹」なんじゃないのか。
  3人「ヒマワリ」以来の親しいお付き合いですからね。だとすれば1人混ざった年下のお嬢ちゃんが元々結構気が強く、痛い事もズバッと言ってくる感じだったりして、兄さん達から跳ねっ返りの妹として扱われていたとて不思議はない。と思う。
  その後桐生ちゃんと由美ちゃんが恋愛関係に発展したとしても「へーお前ウチの妹のこと好きなんだー」という気分で居たりして……いや錦山は実の妹も居る訳だから若干ややこしいけども。ていうか実の妹にせめて名前と年齢の設定を。
  だとすれば「由美ちゃんに何言われても怒らない」「3人飲みが苦ではない」ついでに言えば7話の愚痴も「何であいつお前にだけは懐く訳?なぁおいどういうことだよ?」という方向性に取れなくもない。

 まぁ、個人的な希望とフィルターが随分掛かっている可能性は否定しない。けれども後者の事情であった場合、錦山君の背負う哀しみが半端無くでかいのです。
 妹の為に罪を犯し、兄弟に対する負い目を抱え、去った妹と和解する暇も、失った妹を悼む暇も無く、親同然の人と独り骨肉の闘いを余儀なくされる。
 それは、取り返せる可能性のある家族(桐生ちゃんと由美ちゃん)に夢くらい持つだろう。持たなきゃやっていけないだろう。その夢がちょっと常識からずれて一般的には病んだって言いますね、ということになったってその孤独を憐れんでやる以外になかろうよ。
 麗奈さん位には弱音を吐いてもよかったのにねー。
 思えば錦山は実妹がいる訳ですから、風間の親っさんに殺されたらしい実の両親の記憶がある可能性が、少なくとも桐生ちゃんよりは高いんですよね。もしかすると家族というものに対して思い入れの強い男だったのかもしれない。

 で、ここで風間の親っさんと錦山君の十年戦争にちょっと話を戻します。
 元々の力関係を思えば、親っさんが桐生ちゃんが帰ってくる前に錦山を殺す事ができなかった、というのは錦山の思いがけない善戦を伺わせます。しかしながら、錦山もそのタイムリミットまでに世良会長や親っさんを殺す事はできなかった訳ですから、うかつに手を出すと却って自分が粛清されてしまう危険が高かったということでしょう。
 とすると、「神宮と手を切り、預かった裏金百億を奪う」という計画は親っさんと世良会長にとっても、錦山に付け入る隙を与えるとてもリスクの高い賭けだったんだろうなあと思うのです。
 それでこその会長の遺言状、後継に「桐生一馬」を指名したのは親っさんの保険だったのかと。
 最初から4代目に就ける気だったというより、桐生ちゃんの後ろ盾となれる唯一の存在である自分が死んでしまって、桐生ちゃんの復帰から身辺が落ち着くまでを直接サポートできない場合、残してやれる支援方法が4代目の椅子しかなかったんだろうなあ。
 ここら辺の、親っさんと会長とのツーカー具合とか、親っさんの老獪さとか、逆にそこまで追い込んだ錦山の奮戦を思うとこれは、熱い。
 錦は会長暗殺と、それに始まる内紛で親っさんを倒すのに成功している訳ですが、親っさんは由美ちゃんと桐生ちゃんを先に味方に引き込んで、かつ遺言状で錦の目論見も封じているので全体で言えば親っさんの優勢勝ちと思われます。

 錦が由美ちゃんと桐生ちゃんを親っさん陣営に取られてしまった理由って、同じ施設で育った家族であるというところに錦が何の疑いも持たずに信頼を置いてた油断の所為だと思うの。
 そこら辺の錦の甘さや親っさんの狡さに、私ちょっと燃えている、という話でした。

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