20話感想文2011/08/18

 厳しいなー。
 ある意味お約束の展開なんだけど!でも厳しいなー。
 そんでもって悪役大爆発中のマーベリックさんですが。
 二面性が激し過ぎるんですよねー。そこら辺を掘り下げると面白そうだなと思うんですが、アニメ本編を見るとちょっと君盛大にボコられてきなさいよという印象にしかならねぇ。
 二面性っていうか。
 マーベリックさんはNEXTをヒーローとしてショーアップすることで、NEXTの社会的地位を上げる、というか普通の所まで持って行く、という手法を選んだ訳ですよね。
 1代でシュテルンビルド7大企業の筆頭格まで成り上がり、ヒーローシステムも社会的信用を得るまでに育て上げ、養子のバニーをそのトップヒーローまで育て上げたマーベリックさん。
 で、その裏でヒーローシステムの成長過程において犯罪組織と結託し、親友夫婦を殺し、養子にしたその息子に、後でバレたらバニー再起不能じゃねえのということを現在進行系でしている最中な訳ですよね。

 ここまで差があると、どっちが本音というより裏は裏で、表は表で、どっちも本心なんじゃないの、という考え方をしたくなるのです。

 だって、今回手口が荒っぽい。
 まぁこれまでの悪事の手口が綿密か、っていうとそうでもないんですけどね。
 でも、今回はなんというか。
 関わる人数も、動かす組織の大きさもでかいんです。それなのに粗い。
 集団催眠能力じゃないんだからシュテルンビルド市民全部の記憶を操作することは出来ない訳だし、例えば人生の恐らく半分以上虎徹と関わって来たアントニオの記憶なんてどう考えても差し替えきれると思えない。
 バニーを家へ帰してないのって、どこに虎徹さん思い出す手がかりがあるかわかんないからですよね?
 多分割とあっさり解けてしまう程度、つまり一時しのぎ程度の記憶操作しかできてない。

 破綻して自分がシュテルンビルドからたたき出されること前提なんじゃないのか。と思う程粗い。

 つまりね。ヒーローシステムがきちんと社会正義の為の組織として確立してくると、マーベリックさんの抱えている黒幕部分が必然的にシステムの致命的な弱点になる訳ですよ。
 だとしたらヒーローシステムを守るには、ヒーロー人気が頂点な今、システム自身の自浄力でたたき出されるのがベスト。
 ヒーローを好きで、しかも自分はヒーローになれる性質じゃないとわかっている人が、ヒーローの為に必要な(と少なくともマーベリックさんの判断した)悪事を働き、その悪事を抱えてヒーローに殉じる為に全力で悪役に走っているとするならば、結構萌えるも何も思わずひとネタどころか1冊本位出せそうな勢いです。しかも処刑人にバニーを選びましたね。という点でもうこの!親ばか!とかきゅんとくるんですが。
 でも20話を見るとちょっとその妄想が若干冷めるというか。
 やっぱりヒーロー総ざらいに殴られてこいというか。
 自分の裏読みは絶対外れるんだからそんな面倒くさい萌え方しなくていいという……。
 ちょっと自分切ない。マーベリックさんのばかやろう。

 まあねー。順当に考えれば最初に思い出すのはブルーローズで(タオルと1ドル紙幣もあるし)、牛角さんは……難しいだろうなあ。あの人は後で「俺親友失格かもしれん」て落ち込む位置な気がする。あと大穴としては意外にアニエス、それとネイサンが日頃のスケジュールと記憶の違いから違和感感じて思い出しちゃったら俺一生姐さんについていく。
 バニーはあれですね。マーベリックさんがバニーに関してだけは厳重な管理体制を布いているので、クライマックスまで単独行動期間が引き延ばされると思われます。
 であれだろ。喧嘩してるうちにおじさん高いとこから落っこって、姫抱っこ3回目とかするんだろ。
 第1クールで2回もやっているお姫様抱っこ、第2クールで3回目があっても不思議じゃないというかむしろ当然だろう。

 協力者としてはベンさん、ルナ先生が有力かなー。楓ちゃんが飛んで来たらかっこいいけどなー。
 そうだよ、あの会食にヒーロー担当裁判官を連れてこない辺りマベさん粗いんだよ!そしてベンさん意外とマークされててサマンサなことになったらどうしようって今ちょっとだけ思ってる。

「相変わらずかっこ良かったって言いなさいよ!」
 ………こーゆーおじさんを安心して拝める回を望む。可愛いけど相変わらずどこまで本気かわかりにくいんだよ!おじさん!

21話感想文2011/08/21

 何というか、ある程度予想できた方向性の話が進んで行くので面白い!熱い!のはいいけどでも痛い、チクショー。
 えーと予想できた点としましては。
 ・ルナ様が来る。
 ・ベンさんが来る。
 ・楓ちゃんが来る。

 予想外だった点といたしましては。
 ・偽タイガーを出す際のスーツのサイズの矛盾をまさか「新スーツ」で誤摩化されるとは思ってなかった。
 ・そしてベンさんの車があそこまでワイルドタイガー仕様だとは思ってなかった。

 何着あるんだあのクソスーツ。
 出元はベンさんだろうとは思ってたけど 格納場所そこかよ。
 皆に忘れられてすんごいショックなおじさんがやっぱり一番見ているのが辛い。
 しかしベンさん相手だと、虎徹ちゃんの年下甘えっ子っぷりが出てきますのでおいしいです。
「……ハメられたんすよ」のあ、落ち着いたら無っ茶苦茶腹立ったんだなということがわかる重低音、それと追っかけ回されながらバニーの心配は本気でしてるという辺りが今回虎徹の萌えどころ。社長に関する好悪は別として、養父としてのマーベリックさんの立場は疑いもしてなかったんだろうな20話。
 後「一番めんどくさい」ブルーローズも、良かった。ステキなタオルてお前自分で言うか。あれを。

 虎徹が末っ子だってのはすごく、地に足の着いた設定じゃないかなと思います。
 可愛がられて末っ子やってると、何となく自分がされたように年下を可愛がる傾向は強い訳ですし、というのもあるけど。
 相談下手な奴がめたくそ可愛がられて育った末っ子だというのはとてもリアル。
 だってさー。傍の人が忙しくしてるの見ながら育つとさー。
 まずお手伝いはしたいじゃないですか。それから自分に掛ける時間は最短で済まそうと思うじゃないですか。つまり「どうしていいかわかんない」話をもちゃもちゃ持ちかけるより、自分である程度解決策まで見えてくるまで抱え込んで「こうして欲しいんです!」と交渉に入る方が話は速いじゃないですか。
 しかも自分のことを誰かが見ていることに何の疑いもないもんで、まー言わなくても気付いてくれるんじゃないかなという所も捨てきれない。
 つまり末っ子でおねだり上手な奴は相談するのが苦手な奴が多い、はずだ。短気だったら尚更だ。
 少なくとも俺はそうだ(2人兄妹の末っ子)(しかし私はねだるのもへたくそだし面倒見もよろしくない)。
 細かい観察が出来る上、力づくでも話を聞き出せる、理想の兄貴がいてよかったねぇ虎徹。

 しかし何だ。
 このまま綺麗に話がまとまって、濡れ衣が晴れて、ヒーローの皆も虎徹のこと思い出すとすると。
「気にすんな、俺引退するから後はよろしくな!」
 ………という爽やかな引退宣言が、ヒーローズにはとどめを刺しそうな予感がしま……す。
 そうだよ、2期があると言ってもだな。
「2期は別の街・別の設定でタイガー&バニーだよっ☆」
 というプリキュア体勢だってありうるのだよ。
 戻って来てねおじさん……!

 そして青虎+高所+楓ちゃんの3つが揃った時点で
「楓ちゃんが落ちるのを虎徹が庇う→落ちる→お姫様抱っこ3度目」
 という流れが頭に浮かんだ私は何か間違ってますか、人として。
 だってお姫様抱っこって、実戦でバニーが虎徹の役に立った数少ない貴重な記憶の筈ですよ。
 ……なぁ、かっこいいバニーのターンはまだですか。本気で切実なんですが。

社長とバニーとヒーローと(1)2011/08/22

 マーベリック社長とバニーとヒーローとについて考え出すと割と止まらなくなります。20話感想文にもちょろっと書いていますが、別記事でちょっと語らせてください。
 表向き、社長はバニーの養父であり、かつ雇用主でもあります。またヒーローシステムの構築によってNEXTの社会的地位の確立と差別排除に貢献してきた人でもあります。
 で、裏ではバニーの両親を殺した張本人であり、犯罪組織と結託している悪党な訳です。
 この二面性が矛盾することなく共存する人間像を考えると、これが面白い。
 なぜ社長は自分で殺した親友の息子を育て、また似合いもしないヒーロー事業に心血注いでいるのか。

 まず、社長とバニーについて。
 バニーは両親を殺され、その記憶を改竄されている反面、20年以上社長に養育され、かつヒーローとなることに対する全面的なバックアップを受けています。
 ではそもそも社長はバニーのことを大事にしているのか、ということから考えていきましょう。
 こう言うのも何ですが商品としてのバニーを好きだということは、誰も異存はないと思います。
 スターヒーローを、「無敵のヒーロー」型と「悲劇のヒーロー」型に分けるとしましょう。
「無敵のヒーロー」は、ある程度演出で作り上げることができますが、「悲劇のヒーロー」はそうはいきません。悲劇となる物語の核、本人の外見的・性格的な要素、そしてヒーローとしての実力、むしろ偶然のバランスによって成立するものです。
 ブルックス夫妻殺害から割と早い時期、ことによると現場で、社長はバニーの「悲劇のヒーロー」としての素質に気付いた筈です。
 両親を殺されており、NEXT(しかもヒーロー向けの能力)であり、疑うことなく将来は美形。しかも両親の仇は育ての親。
 完璧です。作ろうとして作れない部分がひと揃い揃った金の卵です。
 恐らく、犯罪組織に手を貸してマッチポンプすることでヒーロー人気をギリギリ維持していた、もしかすると看板スターのレジェンドも能力減退期に入っていた頃かもしれない、崖っぷちの社長にとって希望の星だったことでしょう。

 じゃぁ商品として以外の愛情は持ち合わせていないのか、というと、そうでもないんじゃないかな、と思われる点がいくつかあります。
 例えば、バニーのデビュー時の年齢です。
 2才までにはNEXTであることが判明し、4才から手元に抱えているのに。本人の意志だって固いことですし、若き天才ヒーローとして売り出すことも可能だったはずなのに。10代のドラゴンキッドやブルーローズが活躍している業界で、24才は決して早い方ではありません。
 24才、おそらく大学→ヒーローアカデミー→デビューの経歴を辿っているのではないかと思われます。
 商品としてしか見ていなかったら、脇道に逸れることなくヒーロー一直線に育て上げ、18才位までにとっととデビューさせてまずは天才少年ヒーローとして稼ぎ、実力の点で脂がのって来た所を見計らって復讐イベントを開始して人気のテコ入れをする方が自然でしょう。デビュー早い方が投資回収も早いですしね!
 イメージ作りの一環とか世間体、という考え方もできるのですが、ヒーローを引退した後のことも考えてないか、という見方もできるんですね。引退後、更には自分がいなくなった後も。経営学専攻とかだったら尚、いい。

 バニーを虎徹と組ませてデビューさせる、ということも親心の片鱗に見えるのですが、その前にじゃぁ社長にとってヒーローとは何なのか、少し考えたいところであります。

 社長とヒーロー。
 NEXTの社会的地位の確立と差別排除の為に「正義のヒーロー」を作ってイメージ好転を図る。
 口で言うのは簡単ですが、賠償金キングの虎徹を見るまでもなく、ヒーローの活動には金も掛かるんです。
 理想だけじゃシステムの運営さえできません。ヒーローの活動だけでは飯が食えず、かと言って娯楽としての側面を伸ばしすぎるとただの見せ物となってしまい、「NEXTの社会的地位の確立と差別排除」という目的から離れてしまいます。
 理想と現実のバランスを取りながら社会的信頼を得て、治安制度の一部に組み込まれるまでに至る、その努力と苦労は計り知れないものがあると思うのです。
 社長、ヒーローに対する夢はすごく強いのではないか。
 そして、ヒーローを機能させる為に必要な算盤勘定が先に立ち、かつ正義感や倫理性の面で難のある自分が、能力の性質以前の問題でヒーローになれないことも、よく知っているのではないか。
 クリエイターとしての素質は無いがプロデューサーとしての能力ならあるぞ、ということですね。
 社長はブルックス夫妻とも殺害に至るまでは良好な関係にありました。理想を語り、かつそれに溺れることなく地に足をつけて現実に変えて行く社長は、資産家で研究者であるブルックス夫妻にとっても魅力的だったはずなのです。ブルックス夫妻の人間性に関するデータが少ないので簡単に判断することはできませんが、親友だというところに嘘がないとするならば、上辺だけの理想で騙せる相手ではないように思えます。

 さて、そんな「ヒーローに対する愛情はあるが、自分はありとあらゆる意味でヒーローには向いていない」社長がヒーローにするつもりで子供を育てます。
 4才のバニーちゃんは聡明な上、大変素直な良い子です。
 自分にあまり近づけて育てると、ヒーローに向いていない自分の気質を吸収してしまう恐れがあり、そしてヒーローに必須の正義感や倫理について、自分が教えてやることができません。
 多分、ですが。
 社長、バニーを自分からはできるだけ離して育てたんじゃなかろうか。
 20年間養父養子の間柄にしては何か他人行儀な関係もそれなら理解できる。ヒーローアカデミーだけじゃなく、小中高も全寮制の学校に入れたりしてるんじゃないのかな。
 バニーちゃんの、優秀な外面や仕事を選ばないところ、身も蓋もない計算高さが、社長の努力にも関わらずバニーちゃんがうっかり社長から引き継いじゃった部分だったらたまらない。
 でもって、ヒーローに大事な部分が伸ばせないままバニーちゃんは成長し、ヒーローアカデミーに入れてもそこら辺が伸びてくる兆しも無いままデビューを考える時期が到来した場合、社長は何を考えるべきか。
 有り余る正義感とヒーローたるものどうであるべきかという魂を、しつこく挫けずバニーちゃんに叩き込める人を、バニーの近くに投入することを考えればいい。
 つまりおじさん、ワイルドタイガーである。
 教える、というよりしみ込ます、が目的なら教師として買ってくるよりもコンビにして無理矢理にでも一緒に居させた方が効果的。
 しかもベテランであれば、あまり人付き合いの上手でないバニーと他のヒーロー達との間が気まずくならないように取り持ってくれることも期待できる。
 何か仕事上で失敗してもバニーひとりに責任を集中させなくてもよく、関係がうまくいけば虎徹ちゃんがお父さんな役割もこなしてバニーの人間性をいい感じに高めてくれるかもしれない。
 バニーの豆腐メンタルを考えれば、バニーがいかなる精神状態になったときでも別に出動させられるヒーローを抱えていることにメリットがある。
 その上人気は下降線で賠償金も抱えている。きっとお買い得。
 コンビ結成は、親(馬鹿)心的にも経営者的にも、死角のない選択ではないかと考えます。

 この後、ジェイク戦の意味や、ここへ来て乱発される記憶改竄能力、ていうかあんたバニーの心を何だと思ってなところを続けたかったのですが、一旦切りますね。長過ぎらあ。

社長とバニーとヒーローと(2)2011/08/24

 えーと、どこまで書いたんでしたっけ。
 あぁ、そうだそうだ。
 社長は犯罪組織と結託し、親友を殺してでもヒーローシステムを守りたい位にはヒーローに思い入れがあるということ。そしてバニーを「悲劇のヒーロー」として史上に残るレベルのスーパースターにしようとする程度の愛がある、ということでした。
 多分倫理観と正義感の点で大幅に欠落しとるくせに、倫理と正義の固まりのような「ヒーロー」が好きなんですよ社長。

「NEXTの社会的地位の確立と差別の撤廃」という目的の為に犯罪組織と結託する、可愛い養子をスターにする為に記憶操作する、という本末転倒だけどその場その場の判断に変な合理性があるところが社長の面白いとこなんですよ。
 ウロボロスとの癒着はまあ本来「ダメ、ゼッタイ」なんですがなんと言いますかね。
 後3日で不渡りになる手形を抱えて社員の生活守る為に必死で金策している時に、違法行為だが確実に手形を払える即金の仕事が入った場合、君その仕事を受けちゃった人を一概に非難出来るかね、という話と似ています。
 ウロボロスと癒着する程、親友夫婦を手にかける程、つまり半分狂っちゃう位ギリギリのところで、ヒーローシステムを守るべく奔走していたとすると、ちょっと胸が詰まる。
 問題はその癒着関係を今までずーっと引きずって来たままでいることなんですよね。
 ウロボロス側としては同胞を何人も刑務所送りにされている訳ですが、「実は自分達と癒着関係にある」という弱みの種を握っていることのメリットが大きいのでしょう。
 ヒーローシステムが社会的に認められるものとなった今、トップが犯罪組織とつながりがあるということは、システムそのものをひっくり返しかねない爆弾です。強請るもよし、いざとなったらその爆弾を破裂させるもよし。
 つまり、ヒーローシステムの存続の為に、マーベリック社長が潰しておかなければならない最大の事柄がウロボロスとの関係になります。
 システムの信頼性を最低限の損傷で食い止め、かつ後にその罪を残さないようにするにはどうなるか。
 外部から指摘されない内に、ヒーローシステムの自浄努力で追い出されることが、いいんじゃないですかね。
 その為の最終カードが「バニーの両親を殺したのは社長」ですよ。
 そう簡単に切れるカードじゃありません。
 システムと、それを支えるヒーロー及びスタッフとが、きちんと機能してくれるか、そして創始者であり中核である自分を欠いても大丈夫か、バニーはそのショックを超えられるか。
 そこら辺の実験データも無しにカードが切れる程、社長はギャンブラーではない。
 とすると事前演習があったのではないかと。
 そうです、偽装敵討ちのジェイク戦です。
 バニーの人気取りでもあるけれど、連携は取れるか、不測の事態に対処できるか、どうやっても人手不足となる大規模な犯罪をどう対応して市民を守るか。そういうテストであるような気もするのです。

 じゃぁ今度の一件は、満を持すべく計算されているのかというと、そんなことはないんですがね。
 最初は穏便に「クリームが余計なことをバラした」「バニーが思い出しちゃった」「サマンサの写真」の3つを記憶操作で何とかしようとしてるんですから。バニーと虎徹とサマンサさんの記憶を封鎖しちゃえばオッケイの筈だった。
 ただ──色々タイミングが狂ってきたときに、いっそのこと今こそあのカードを切る、という気になったんじゃないかと。
 ヒーローは粒ぞろいで関係も良好、指揮官も上々、悪い時期ではない、と。
 そう考えないと、ここまで用意周到に何十年も暗躍してきた社長にしては仕上げが粗過ぎるあの展開に対して夢ってもんが!
 どう考えても長期的どころか中…いや短期間で破綻しそうな嘘だもの。
 最初からバレるの前提ですよ、という夢位悪役に持ちたい。

 で、追っかけ回されながら形勢を逆転させねばならんキーマンとしてご指名されたのがおじさんである……ということは。
 考えられるのは、1:バニーが育ち上がったので教育係はいらなくなった。2:仲良くなり過ぎたので若干の嫉妬が入っている。3:実はバニーレベルのタイガーファンなのでどうにかするだろうって信じてる。
 まぁ若干冗談を含みますが、評価が高いんだと嬉しいな。
 それにその、失敗して虎徹が死んでもバニーの悲劇要素が1個増えるしね……。社長の計算上損はないよね……。

 サマンサさんが生かされてきたのも、バニーの可哀想度合いを上げる要素のストックだったのかもしれません。
 好意的に考えれば「これ以上殺したくない」とか「バニーのため」という理由も上げられるんですが、別にマベさんに引き取られた後のバニーの世話はさせてもらってないものね、サマンサさん。誕生日のケーキだけ。
 バニーの演出上必要となったら殺す気だったんじゃないかな……。最初から。

 そこまで考えると社長、バニーちゃんを何だと思ってますかという話になるんですけど。
 もしかして、社長「辛い」とか「苦しい」という感情が薄いのかもしれない。
 自分の感知できない苦痛について、理解することは難しいですからね。ちょっとシモな例で言えば、女子は金的の苦痛を想像することはしても理解することが出来ませんし、男子だって生理のアレコレを解することはできないでしょう。女子同士だって個人差あってうっかりすると喧嘩になるんだから。
 つまり、その位でバニーちゃんがどうにかなるはずがないと本気で思ってる。
 マベさんが狂人だとするなら、狂ってるのはそこのポイントだといい。

 苦痛の感情だけじゃないかもしれない。他の感情も欠落気味な気がします。
 マイナス面ばかりじゃないんですよね。表現方法がうまいことできてれば、温厚で冷静、へこたれないし判断も情に流されない分公正かもしれない。
 その性格に理由を求めるとするならば、社長が偏見による差別と迫害のまっただ中にいた第1世代NEXTだということへ想像が行きますよね。
 社長の能力は記憶の上書きですが、一々一服盛ったりしてるとこから考えると、少なくとも「犯行現場の記憶」や「虎徹≠ワイルドタイガー」のような大掛かりな記憶改竄は時間も掛かり、抵抗されると成功しないということですね。すごく使いにくいと思う。
 きちんとコントロールできた後なら、NEXTだとバレた瞬間に相手の記憶を消すこともできるでしょうが、制御できるまではうっかり体が光った瞬間にNEXTだってバレて、しかも身に危険が及んでも戦闘向けの能力じゃないという苦労をなめてきたんだなぁと……。

 さて。そんなこんなでぐだぐだと、バニーもヒーローも大好きだが、哀しいかな愛し方を根本的に間違ってるマベ社長について語ってきました。
 マベさん、最低だけどちょっと悪役としてかっこいいかもしんない……。と思った人は、是非もう一度20話を見てください。
 そう思った俺の純情を返せって気になりますから。
 最低なことは間違いもなくど最低なんです。でも複雑!

 バニーちゃんが返せる恩は、全力で上書き前の記憶を取り戻し、社長を軽蔑しつつ社長が命懸けで築き上げたシステムから社長をたたき出すことである。がんばれ。

21話感想捕追2011/08/24

 ……本当は21話感想文の書き加えにしようと思ってたんですが、社長関連の妄想2記事がえらい量になってますので新記事。くそうしくじった。
 いやまぁ、お父さん待っててねの楓ちゃんの方がウサ公よりよっぽど相棒らしく見えることに涙したり、黒虎の中身は人かなアンドロイドかなー、とか。でもロトワングはウロボロスじゃないもんな。とかクソスーツのおじさん、かっこいいけど正体が市民に、能力減退が仲間内にバレるんじゃないのという事態は滑らかにおじさん引退EDに繋がりそう、とか。もちゃもちゃ考えてたんすけどね。

 ふと思い出した予告編。
 虎徹ちゃんがマジギレするとしたら、楓ちゃん絡みだろうなと。
 ヒーロー達は、たとえ犯罪者の子であっても犯罪と直接関係のない子供に手を上げる様な連中ではない。
 ただし今回の状況下、ひとりだけ例外がいる。

 せめて社長であってくれ。
 あとで死ぬ程後悔しそうなファクターをこれ以上豆腐メンタルに負わせないでやってくれ。

 ……まぁ、バニーの豆腐な割に図々しいそして自分勝手なところを併せて考えるとバニー自身は大丈夫かもしんないんですが。
 記憶の改竄だってなあ。
 改竄された記憶が、バニーにとって知りたくなかっただろう記憶ばっかりだってとこも気にかかるのよね。
 マベさんの能力と相性が良すぎたのではないか、バニーのメンタル。
 今回のだって、ジェイクの冤罪と真犯人の正体との他に、虎徹が引退しちゃうことについても聞きたくなかったことだったんだよなあ。改竄されっぱなしの状態なら虎徹さんはいてくれなくても、「ワイルドタイガー」は隣にいるんだもんね。
 マベさんは、バニーの弱い所を本当に熟知しておるね、という気がするのはなぜだ。

 上書き部分が剥げた時、上書きされてた期間に考えていたこととか感じたことが別に消えちまう訳じゃないんだよね。
 殺したい程の憎しみと、依存する程の親愛が一緒に襲ってくるって、それ混乱通り越して相当に苦しいんじゃないかなあ。

 頑張れ兎。本当頑張ってくれ兎。